水産業は成長産業

水産業は世界では成長産業、日本では衰退産業

日本の水産業は、以下の図(日本と世界の水産物の生産量の推移)の通り、1985年頃をピークとして、生産量は減少しています。つまり、日本の水産業は衰退産業なのです。しかし、世界的には、生産量が伸び続けており、全世界で水産物に対するニーズが高まり続けています。水産業界は、日本だけでなく、世界に目を向けると水産業は大きなチャンスのある産業なのです。

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日本の水産業はどうなるのか?

日本の水産物の生産量は下降線をたどっていますが、将来にわたって同じ傾向が続くとは限りません。生産量が減ってしまった最大の理由は「採り過ぎ」による水産資源の減少によるところが大きいのです。今後、採り過ぎを防ぐための【水産資源管理】をしっかりと行っていくことで、水産量が復活する可能性は十分にあります。実際、海外では水産資源管理によって、漁場が復活した事例はいくつもあり、日本でも持続的な漁業に向けた取組みを推進していくことが鍵になります。

ノルウェーやアメリカのアラスカなど、水産業が発展している地域では、厳格な資源管理を行い、水産資源が毎年利用できる施策を実行しています。その結果として、漁師は豊かな生活を享受しています。例えば、ノルウェーでは船長の年収が日本円にして1500万円、船員はその6割(900万円)ほどになります。(朝日新聞GLOBEより)

実際にアラスカの漁師やノルウェーの漁師は、水産資源の管理により、安定した漁獲高を確保できるため、安定かつ裕福な生活をすることができています。日本でも同じように裕福な漁師が増えれば、漁師を目指す若者が増え、漁業が活性化するでしょう。結果として、水産業界全体が復活することにつながります。それだけ海の恵みを活かすための水産資源管理が重要なのです。

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ノルウェーの漁師の漁船船内。別荘のような豪華な内装。ノルウェーは水産資源管理により、安定した漁獲高を確保できるようになり、漁師が豊かで安定した生活を送ることができるようになった。

亀和商店の展望

これまでご説明した通り、水産業界は世界に目を向ければ成長著しい産業であり、国内を見ても元々は世界でも有数の豊かな漁場であり、復活の可能性を秘めた魅力的な産業です。この業界の中で、亀和商店は「何を目指しているのか?」「何を実現しようとしているのか?」といった戦略や社会貢献活動をご紹介します。

戦略1 成長市場である海外への展開

世界的に日本食ブームは広がっています。下記の図の通り、海外の日本食レストランは2008年に2.4万店でしたが、2013年には5.5万店と5年で2倍以上と増加しています。日本政府の政策「クール・ジャパン」の取組みや和食の世界文化遺産への認定など、日本食レストラン増加の追い風が吹いています。

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出典:平成25年6月_農林水産省資料_日本食の海外普及について

この中で、亀和商店は、北米とアジアを中心に販路を拡大していく準備を進めています。この2つのエリアで日本食レストランの店舗数の80%のシェアを占めています。

アジアでの販路拡大については、アジアのビジネスの鍵を握る中国系の商圏を獲得するために、2014年4月に中国人留学生が入社予定。日本の飲食店を経験し、日本食や日本文化に対する知識を持っており、既存の販路と取引実績をベースに今後の展開が期待できます。アメリカ市場の開拓のために必要となるISO22000の取得予定。取得後、現地の高級料理店やホテルを中心に積極的に販路拡大を目指す。

このように、今後伸びていく市場を押さえることで、亀和商店として盤石の経営体制を築くとともに新たなビジネスチャンスにチャレンジに意欲を持つ優秀な人材の採用・教育に力を入れる。

戦略2 日本食に関わる人材育成と日本文化の輸出

亀和商店では、規模は小さいながらも、日本政府の戦略と連動した動きを進めています。まずは背景から説明します。現在、料理人が魚をさばく技術を身につけたいと考え、飲食企業に入社しても、なかなか魚をさばく機会に恵まれないようです。そんな料理人の中には、魚をさばく技術を習得するための場を求めて、亀和商店を訪ねてきます。亀和商店では、日々自社の加工場で職人がお客様に納入するための魚をさばいていますので、料理人は職人の技術を見て学び魚をさばく経験を積んでいきます。要は亀和商店を技術習得のための道場として活用しているのです。

これまでは日本人の料理人の受け入れを行ってきましたが、今後は、調理師専門学校の留学生の受け入れをスタートする予定です。その理由は、日本政府(農水省)の方針として、調理師学校の留学生の育成に力を入れ、働きながら日本料理を学ぶ機会を作ろうとしています。日本で日本料理を学んだ留学生が、将来的には自国に戻り、日本料理店を開く。それが世界的に日本料理を広げていくことにつながるというシナリオを描いています。この政府の方針に対して、亀和商店としてもできる限り協力して、推進していくことで、新しいビジネスチャンスを得ようと取り組んでいます。

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農林水産省が日本料理の海外普及するための施策についての新聞記事。

この取組みのビジョンは、日本料理を学んだ留学生が、母国に帰って日本料理を出すお店を作る。そんな留学生をたくさん育てることで、日本料理をより一層世界中に広げることができる。母国で日本料理店を開店した彼らは、こだわりの日本食を作るために、日本から質の良い素材を輸入する。魚を仕入れる時は亀和商店から、他の商材も日本で品質の良いものを作る会社から仕入れるような構造を作りたいと考えています。

実際にフランスは、フランス料理を中心に自国の文化をブランド化し、世界中に広めることに成功しました。世界中にフランス料理は広がり、その結果として、ワインやチーズなどの食材を世界中に輸出し、国家としての豊かさを築いています。それと同じことを日本文化、日本食でやりたいと考えています。日本食、日本の魚は世界に広げる価値がある!と信じて取り組んでいます。

戦略3 持続可能な漁業の実現と漁業への進出

海のエコラベル(MSC認証)とは、いつまでも魚を食べ続けることができるように、海洋の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物(シーフード)に与えられる認証エコラベルです。消費者がこのマークのついたシーフードを選ぶことで、世界の海洋保全を間接的に応援できる仕組みです。

実際にヨーロッパでは、このマークのついた魚を優先的に購入する消費者が増えており、海のエコラベルの認証を取得することが、水産業を営む会社の経営を支えることにつながっており、水産資源管理の実現を消費者を巻き込んで行う取組みです。

亀和商店では2006年に海のエコラベル(MSC認証)を日本で最初に取得し、水産資源管理の推進に力を入れています。

水産資源管理など持続可能な漁業復活に向けて取り組むことで、日本近海の漁場が復活する日は必ず来るでしょう。その時には、魚の仲卸としての事業だけでなく、自ら漁を行い魚を仕入れる事業にも進出できるように、今から将来的に漁獲枠を獲得するための準備を進めています。

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多摩川でのアユ漁を2015年からスタート。将来的には東京湾での漁業を行う。自分たちで魚を取り、直接お客様にお届けする事業を実現すべく、取り組んでいます。

私たちは、世の中から見れば、ちっぽけな中小企業かもしれません。しかし、「こんな小さな会社でも出来ることがある!大切なのは会社の規模ではなく、チャレンジできること。」という希望を持って、新しいことに挑戦し続けます。