2026.10.01

IUU漁業とは?飲食店・ホテルが知っておきたい水産物調達のリスク

サスティナブルシーフード

仕入れている魚介類について、産地や漁獲方法、流通経路まで説明できるでしょうか。飲食店やホテルでは、味や価格、安定供給だけでなく、環境や法令に配慮した水産物調達が求められる場面が増えています。
IUU漁業とは、違法・無報告・無規制で行われる漁業のことです。こうした漁業に由来する水産物を知らないうちに扱ってしまうと、水産資源の減少に関わるだけでなく、店舗やホテルの信頼低下、取引先からの確認対応、ブランドイメージへの影響につながる可能性があります。
この記事では、IUU漁業の基本から、飲食店・ホテルが注意したい水産物調達のリスク、仕入れ時に見るべきポイント、サステナブルシーフードの選び方まで解説します。安心して魚介類を提供したい事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

IUU漁業とは違法・無報告・無規制の漁業

IUU漁業は、国際的にも問題視されている漁業の一つです。水産資源の持続性や公正な取引に影響するため、飲食店やホテルにとっても無関係ではありません。まずは「違法」「無報告」「無規制」という3つの意味を押さえることで、調達時に注意すべきリスクが見えやすくなります。

違法漁業の特徴

違法漁業とは、各国の法律や国際的な取り決めに違反して行われる漁業を指します。例えば、許可を得ていない海域での操業、禁漁期間中の漁獲、漁獲量の上限を超えた操業などが挙げられます。こうした行為は、水産資源を守るために設けられたルールを無視しているため、資源の回復を妨げるおそれがあります。
また、ルールを守って操業している漁業者との公平性も損なわれます。不正な漁獲物が市場に流通すれば、価格や流通量にも影響が出る可能性があり、仕入れ側の判断を難しくします。飲食店やホテルが魚介類を扱う際には、価格や鮮度だけでなく、適切なルールのもとで流通しているかを意識することが大切です。

無報告漁業の特徴

無報告漁業とは、漁獲量や漁獲場所などの情報を正しく報告しない、または虚偽の報告を行う漁業です。表面上は通常の漁業に見えても、実際の漁獲状況が把握できないため、資源管理の面で大きな問題になります。報告が不十分なまま漁獲が続くと、どの魚種がどれだけ減っているのかを正確に判断しにくくなります。
水産資源は、漁獲量や生息状況をもとに管理されます。そのため、報告内容に誤りがあると、適切な保護や規制が遅れる可能性があります。飲食店やホテルにとっても、漁獲情報が不透明な水産物は説明しにくい商品になります。仕入れ先から産地や漁獲情報を確認できるかどうかは、安心して提供するための重要な視点です。

無規制漁業の特徴

無規制漁業とは、管理ルールが存在しない、または十分に整備されていない海域で行われる漁業を指します。国際的な合意がない海域では、漁獲量の制限や操業ルールが曖昧になりやすく、過剰な漁獲につながるおそれがあります。特に公海などでは監視が行き届きにくく、資源管理が難しくなります。
無規制の状態で漁獲された水産物は、流通段階でも情報が不十分になりやすい点に注意が必要です。どの海域で、どのような方法で獲られたのかが見えにくい場合、仕入れ側はリスクを判断しにくくなります。水産物を継続的に提供する事業者にとって、こうした不透明さは長期的な仕入れの安定性にも関わる問題です。


IUU漁業が水産資源に与える影響

IUU漁業は、違法な操業にとどまらず、海の環境や水産資源の持続性にも影響します。魚介類を提供する飲食店やホテルにとって、資源の減少は将来的な仕入れ価格や供給量にも関わる問題です。ここからは、IUU漁業がもたらす主な影響を見ていきます。

水産資源の減少

ルールを無視した漁獲が続くと、魚の再生産が追いつかなくなり、水産資源が減少するおそれがあります。特に成長途中の魚や産卵期の個体が多く捕獲されると、将来の資源回復が難しくなります。短期的には市場に水産物が出回っているように見えても、長期的には供給が不安定になる可能性があります。
飲食店やホテルでは、人気の魚種を安定して仕入れられることがメニューづくりの前提になります。しかし、資源量が減ると、価格の上昇や入荷量の変動が起こりやすくなります。結果として、メニュー変更や原価管理の負担が増える可能性もあります。IUU漁業の問題は、海の資源だけでなく、事業者の安定した仕入れにも関わる課題といえます。

海洋環境への負荷

IUU漁業では、環境への配慮が不十分な漁法が使われる場合があります。例えば、海底環境を傷つける漁法や、混獲を防ぐ工夫が十分でない操業が行われると、対象の魚種以外にも影響が及びます。海鳥や海洋生物が巻き込まれることで、生態系全体のバランスが崩れる可能性もあります。
海の環境は、一度大きく損なわれると短期間では回復しにくいものです。漁業が続けられる環境を守るためには、漁獲量だけでなく、漁法や管理体制にも目を向ける必要があります。飲食店やホテルが環境に配慮した水産物を選ぶことは、将来も豊かな魚介類を提供し続けるための取り組みにもつながります。

SDGs目標14との関係

SDGsの目標14では、海の豊かさを守ることが掲げられています。その中でも、IUU漁業の防止や持続可能な漁業の推進は重要なテーマです。水産物を扱う企業や飲食店にも、環境や資源に配慮した調達を意識する姿勢が求められるようになっています。
SDGsへの対応は、単に社会貢献を示すための取り組みではありません。仕入れる水産物の背景を確認し、持続可能な選択を重ねることで、顧客や取引先からの信頼にもつながります。特にホテルや飲食店では、料理の品質だけでなく、食材の選び方そのものが評価される場面もあります。IUU漁業への理解は、信頼される水産物調達の土台になります。


飲食店・ホテルが抱えるIUU漁業の調達リスク

IUU漁業の影響は、漁業や流通の段階だけで完結するものではありません。最終的に料理として提供する飲食店やホテルにも、見えにくい形でリスクが及ぶ可能性があります。調達時に起こりやすい課題を知っておくことで、仕入れ先との確認や説明対応がしやすくなります。

仕入れ先への確認不足

仕入れ先を信頼している場合でも、産地や漁獲方法まで確認していないと、万が一問題が起きた際に説明が難しくなります。特にホテルや法人利用の多い飲食店では、食材の背景を問われる場面もあります。仕入れの判断をすべて仕入れ先任せにしてしまうと、調達方針を十分に示せない可能性があります。
もちろん、現場で一つひとつの水産物を詳しく調べるには限界があります。そのため、信頼できる仕入れ先と連携し、必要な情報を確認できる体制を持つことが重要です。産地、漁獲方法、認証の有無などを必要に応じて確認できれば、店舗側も安心してメニューに反映しやすくなります。

ブランドイメージの低下

環境や社会への配慮が重視される中で、水産物調達の透明性はブランド評価にも関わります。万が一、不適切な水産物を扱っていると受け止められれば、顧客や取引先からの信頼を損なうおそれがあります。特にホテルや高価格帯の飲食店では、料理そのものの品質に加えて、食材選びの姿勢も見られやすくなります。
ブランドイメージは、一度損なわれると回復に時間がかかります。反対に、サステナブルな水産物調達に取り組んでいることを説明できれば、店舗やホテルの価値を高める材料にもなります。無理に大きな取り組みを掲げる必要はありませんが、仕入れの基準を持ち、説明できる状態にしておくことが大切です。

取引先からの説明要請

法人取引やホテルの調達では、産地や認証の有無を確認される場面があります。海外からの利用客や環境配慮を重視する企業との取引では、提供する料理に使われている食材の背景が問われることもあります。対応できない場合、取引条件の確認に時間がかかったり、提案の機会を逃したりする可能性があります。
一方で、調達方針や仕入れ先の情報を整理しておけば、問い合わせにも落ち着いて対応できます。認証水産物の取り扱いや、流通経路の確認体制を示せることは、事業者としての信頼につながります。IUU漁業への対策は、単なるリスク回避ではなく、取引先から選ばれるための準備にもなります。


IUU漁業由来の水産物を避ける仕入れのポイント

IUU漁業由来の水産物を避けるには、仕入れの段階で確認できる情報を増やすことが大切です。専門的な知識をすべて現場で判断する必要はありませんが、確認すべき観点を持つことで、仕入れ先との会話が具体的になります。

  • 産地と漁獲情報の明確さ
  • 流通経路の透明性
  • MSC・ASC認証の活用

上記のポイントを意識しておくと、調達の根拠を示しやすくなります。仕入れ価格だけで判断するのではなく、安心して提供できる魚介類かどうかを見極める視点が必要です。

産地と漁獲情報の明確さ

水産物を仕入れる際は、産地だけでなく、どの海域でどのような方法で漁獲されたかを確認できるかが重要です。産地名が示されていても、漁獲海域や漁法、管理状況が曖昧な場合は、調達の根拠として十分とはいえないことがあります。特に輸入水産物や複数の業者を経由する商品では、情報が途中で見えにくくなる可能性もあります。
飲食店やホテルでは、すべての魚介類について詳細な資料をそろえるのは現実的ではありません。ただし、主力メニューに使う魚種や、取引先から確認されやすい商品については、産地や漁獲情報を確認できる状態にしておくと安心です。情報が明確な水産物を選ぶことで、顧客や取引先に対しても説明しやすくなります。

流通経路の透明性

流通経路の透明性とは、魚介類がどのような事業者を経由して店舗に届いているかを確認できる状態を指します。水産物は漁獲後に市場、仲卸、加工業者、配送業者などを経て届くことが多く、経路が複雑になるほど情報が見えにくくなります。そのため、仕入れ先が流通の背景を説明できるかどうかは重要な判断材料です。
価格だけを基準にすると、情報が不十分な水産物を選んでしまう可能性があります。もちろん、コスト管理は飲食店やホテルにとって欠かせません。しかし、流通経路が明確な仕入れ先と取引することで、メニュー説明や法人取引で根拠を示しやすくなります。水産物の品質だけでなく、情報提供のしやすさも仕入れ先選びのポイントになります。

MSC・ASC認証の活用

MSC認証やASC認証は、持続可能な漁業や責任ある養殖に配慮していることを示す国際的な基準です。MSC認証は天然の水産物、ASC認証は養殖の水産物に関する認証として活用されています。認証水産物を選ぶことで、調達の根拠を示しやすくなり、IUU漁業由来の水産物を避ける判断材料の一つになります。
ただし、認証がない水産物がすべて不適切というわけではありません。魚種や地域、流通状況によっては、認証水産物として扱われていない場合もあります。そのため、認証の有無だけで判断するのではなく、産地や流通経路、仕入れ先の説明体制もあわせて確認することが大切です。認証は、安心材料の一つとして活用する姿勢が適しています。


亀和商店が支えるサステナブルな水産物調達

安心して水産物を仕入れるためには、仕入れ先の選定が重要になります。価格や鮮度だけでなく、認証水産物への対応や、飲食店・ホテルの用途に合わせた提案ができるかも見ておきたいポイントです。亀和商店は、豊洲市場の仲卸として水産物調達を支えています。

豊洲市場の仲卸としての目利き

亀和商店は、豊洲市場の仲卸として魚介類を扱ってきた企業です。市場で培った経験をもとに、品質や鮮度を見極めながら、用途に合う水産物を提案できる点が強みです。飲食店やホテルでは、料理の内容や客層、提供価格に応じて求められる魚介類が変わります。そのため、単に商品を仕入れるだけでなく、使い方に合う提案を受けられることが大切です。
また、魚介類は季節や入荷状況によって品質や価格が変わりやすい食材です。豊洲市場の仲卸と連携することで、その時期に適した水産物を選びやすくなります。安定した品質を保ちたい事業者にとって、現場の目利きに相談できる仕入れ先は心強い存在になります。

MSC・ASC認証水産物への対応

亀和商店は、2006年4月に日本で初めてMSC認証を取得し、2015年4月にはASC認証も取得しています。認証水産物の取り扱いを通じて、持続可能な水産物調達を支援できる点が特徴です。飲食店やホテルがサステナブルシーフードを導入したい場合、認証に対応した仕入れ先に相談できることは大きな安心材料になります。
認証水産物は、環境配慮を示すうえでわかりやすい選択肢です。メニューや企画に取り入れることで、顧客に対して調達方針を伝えやすくなります。ただし、認証水産物の導入には魚種や価格、提供方法との相性もあります。亀和商店のように認証水産物の取り扱い実績がある仕入れ先へ相談することで、現場に合った選択をしやすくなります。

飲食店・ホテル向けの提案力

飲食店やホテルでは、求められる水産物が業態によって大きく異なります。高級和食店であれば品質や希少性、ホテルの宴会やレストランであれば安定供給や提供しやすさが重視されます。亀和商店は、豊洲市場の仲卸として、多様な業態に向けた水産物調達を支えています。
サステナブルな水産物を取り入れる場合も、単に認証品を選べばよいわけではありません。料理の方向性、原価、提供数、季節感に合うかどうかを踏まえる必要があります。仕入れ先に相談しながら選ぶことで、無理のない形で環境配慮を取り入れやすくなります。飲食店やホテルにとって、提案力のある仕入れ先は、品質と信頼性を両立するうえで重要な存在です。


FAQ

IUU漁業に関するよくある質問

IUU漁業は専門的な言葉に見えますが、水産物を仕入れる飲食店やホテルにも関係するテーマです。よくある疑問を押さえておくことで、日々の仕入れや取引先への説明にも活かしやすくなります。

QIUU漁業は日本にも関係ありますか?

IUU漁業は遠い海域の問題として捉えられることもありますが、日本の水産物調達とも無関係ではありません。国内では輸入水産物も多く流通しているため、海外での漁業管理や流通の透明性が、飲食店やホテルの仕入れにも影響する可能性があります。
また、日本国内で流通する水産物であっても、産地や流通経路が複雑な場合は、情報を確認しにくいことがあります。そのため、国産か輸入かだけで判断するのではなく、どのような経路で届いているか、仕入れ先が必要な情報を提示できるかを確認することが大切です。

Q飲食店も対策が必要ですか?

飲食店やホテルは、水産物を最終的に顧客へ提供する立場にあります。そのため、漁業者や流通業者だけの問題として考えるのではなく、調達の方針を持っておくことが重要です。特に法人利用やインバウンド対応が多い業態では、食材の背景を問われる場面もあります。
対策といっても、すべての水産物を一度に切り替える必要はありません。まずは主力メニューに使う魚種や、説明を求められやすい商品から確認する方法があります。仕入れ先に産地や認証の有無を相談し、情報を少しずつ整理していくことで、現場に負担をかけすぎずに調達の信頼性を高められます。

Q認証水産物なら安心ですか?

MSCやASCなどの認証水産物は、調達の信頼性を高める有効な判断材料です。第三者による審査を受けているため、持続可能な漁業や責任ある養殖に配慮した水産物を選びたい場合に役立ちます。飲食店やホテルが調達方針を示す際にも、説明しやすい選択肢となります。
ただし、認証の有無だけですべてを判断するのは避けた方がよいでしょう。認証がない水産物でも、適切に管理されている場合があります。反対に、認証品であっても、店舗の料理や価格帯に合うかどうかは別の問題です。産地、流通経路、仕入れ先の説明体制もあわせて見ることで、より納得感のある調達につながります。

まとめ|IUU漁業を知り信頼される水産物調達へ

IUU漁業は、違法・無報告・無規制で行われる漁業を指し、水産資源や海洋環境に影響を与える問題です。飲食店やホテルにとっても、知らないうちに不透明な水産物を扱ってしまうと、信頼低下や取引先への説明対応につながる可能性があります。産地や漁獲情報、流通経路を確認し、必要に応じてMSC・ASC認証水産物を活用することで、調達の根拠を示しやすくなります。さらに、信頼できる仲卸と連携すれば、日々の仕入れで判断に迷う場面も減らせます。安心して魚介類を提供し続けるためにも、IUU漁業への理解を深め、持続可能な水産物調達を意識していきましょう。