2026.06.27

サステナブルシーフードとは?特徴やメリット・デメリット・仕入れ方法

サスティナブルシーフード

「サステナブルシーフードとは何か」「普通の魚介と何が違うのか」と迷っていませんか。環境配慮やSDGsが注目される一方で、基準や認証制度、仕入れの確認ポイントが曖昧なままだと、説明に自信が持てず導入をためらいがちです。飲食店や小売事業者にとっては、仕入れの選択が信頼や取引評価に影響する場面も増えています。
この記事では、サステナブルシーフードの定義と背景、MSC認証・ASC認証の違い、メリット・デメリット、現場で実践しやすい仕入れ方法まで解説します。無理なく取り入れられる進め方も紹介するので、導入を検討している方は参考にしてください。

サステナブルシーフードとは何か

サステナブルシーフードとは、水産資源と海の環境を守りながら、将来にわたって利用できる形で生産・流通している水産物の考え方です。漁獲量や養殖方法だけでなく、情報の透明性も含めて評価されます。

持続可能な水産資源の定義

持続可能な水産資源とは、資源量が大きく減り続けないように管理され、将来も安定して利用できる状態を保っている魚介類を指します。例えば、科学的な資源評価を踏まえた漁獲枠の設定、禁漁期間の運用、違法漁業への対策などが挙げられます。こうした管理が進むことで、資源量の維持や回復が見込みやすくなり、長期的には供給の安定にもつながります。目先の数量だけでなく、継続して獲り続けられる仕組みが整っているかが重要なポイントとなります。

通常の水産物との違い

一般的な水産物との違いは、「生産や流通の背景情報をどこまで確認できるか」にあります。通常の流通でも産地表示はありますが、漁獲方法や資源状況、養殖環境まで十分に示されないケースもあります。一方でサステナブルシーフードでは、第三者認証や記録の仕組みを通じて、どこでどのように生産されたかを追いやすくなります。背景が明確になるため、飲食店や小売事業者はメニュー表示や販売時の説明を行いやすくなり、結果として顧客の安心感にもつながります。

天然漁業と養殖業の持続性

天然漁業では、資源量の把握と漁獲の管理が持続性の土台になります。漁獲量の調整や漁具・漁法の工夫により、特定の魚種だけでなく周辺の生態系への影響も抑えやすくなります。養殖業では、水質や排水の管理、餌の原料、労働環境、薬剤の扱いなど、多面的な基準が関わります。養殖方法の改善が進むことで環境負荷の軽減につながり、安定供給の実現にも結びつきます。どちらの場合も、「管理の仕組みが継続して運用されているか」が判断の分かれ目となります。


サステナブルシーフードが求められる理由

水産物の需要が高まる一方で、資源や環境への負荷が課題になっています。持続可能な調達を意識する動きが広がり、企業活動でも環境配慮が評価されるため、サステナブルシーフードが選ばれる場面が増えています。

水産資源の減少問題

持世界的に、漁獲の集中や管理の難しさから、資源の減少が指摘される水産資源があるとされています。資源量が大きく減ると、将来的に漁獲量が制限される可能性が高まり、供給の不安定化や価格変動につながりやすくなります。持続可能な管理を進めることで、資源を守りながら利用し続けられる状態を目指せます。安定的な仕入れを考える事業者にとっても、資源管理の視点を持つことは無駄になりません。短期的な調達のしやすさだけで判断しない姿勢が、結果としてリスクを減らすことにつながります。

海洋生態系への影響

過度な漁獲や環境に配慮しない養殖は、海洋生態系に負荷を与えるおそれがあります。例えば、混獲が多い漁法では、狙っていない生物まで影響を受ける場合があります。養殖でも、排水や餌の管理が不十分だと周辺環境に影響が及ぶ可能性があります。環境負荷を抑える取り組みが進むことで、生態系のバランスを守りやすくなり、漁業や養殖の継続性も高まります。海の環境を守る視点は、結果として水産業全体の将来を支える考え方になります。

企業に求められるESG対応

ESGの観点から、調達段階の環境配慮を求める動きが広がっています。取引先から調達方針の提示を求められるケースもあり、対応できるかどうかが商談に影響することもあります。サステナブルシーフードの導入は、環境配慮の姿勢を分かりやすく示す手段となります。情報の透明性が高い水産物を選ぶことで、説明の一貫性が保ちやすくなり、社内外への発信もしやすくなります。継続的な取り組みとして位置づけることで、信頼形成にもつながります。


MSC認証とASC認証の違い

サステナブルシーフードの判断材料として、MSC認証とASC認証がよく使われます。どちらも第三者の基準に基づく仕組みですが、対象が異なるため、違いを理解しておくと仕入れ判断がスムーズになります。

MSC認証の基準と対象魚種

MSC認証は主に天然漁業を対象とした国際的な認証制度です。資源が持続可能な水準にあること、生態系への影響が抑えられていること、適切な管理体制が整っていることなどが評価の柱になります。基準を満たした漁業に由来する水産物は、青い認証ラベルとして流通することがあります。仕入れ側にとっては、天然魚を選ぶ際の判断材料になりやすく、説明の根拠も作りやすくなります。認証の有無だけでなく、ラベル表示や取引時の情報確認も合わせて行う姿勢が大切です。

ASC認証の基準と対象魚種

ASC認証は養殖水産物を対象とした認証制度です。養殖場の環境管理に加え、排水や餌の扱い、労働環境など、幅広い観点が確認項目に含まれます。基準を満たした養殖場で生産された水産物には、緑色の認証ラベルが表示されることがあります。養殖は安定供給と相性が良い一方で、管理の質が重要になるため、認証は判断材料として役立ちます。導入時は、ラベルや流通情報の確認とあわせて、扱いやすい魚種から始めると進めやすくなります。

認証ラベルの見分け方

MSCとASCはラベルの色や表記が異なるため、パッケージや納品書の情報から見分けやすいのが特徴です。仕入れの現場では、ラベルの有無だけでなく、商品説明や証明書類の提示可否も確認しておくと安心です。認証番号が記載される場合もあり、必要に応じて流通経路の確認に役立ちます。現場の運用としては「仕入れ時に確認する項目」を決めておくと、担当者が変わっても品質がぶれにくくなります。小さなルール化が、継続的な調達につながります。


サステナブルシーフードのメリット

サステナブルシーフードの導入は環境配慮にとどまらず、説明のしやすさや信頼形成にもつながります。調達方針が明確になるため、取引や情報発信の場面で判断がぶれにくくなる点もメリットです。

ブランド価値の向上

生産背景を意識した仕入れは、店舗や企業の姿勢を伝える材料になります。近年は「おいしさ」だけでなく、どのように生産されたかを重視する消費者も増えています。そのため、サステナブルシーフードを扱うことは、環境配慮を言葉だけで終わらせない取り組みとして伝えやすくなります。メニューや売り場で背景情報を丁寧に示すことで、安心感が生まれ、結果としてリピートや評価につながることもあります。無理のない範囲で継続することが、信頼の積み重ねになります。

取引機会の拡大

環境配慮の基準を調達に取り入れる企業が増え、取引条件として求められる場面もあります。認証水産物の取り扱い経験があると、商談の際に調達方針を説明しやすくなり、提案の幅も広がります。特にホテルや法人向けの取引では、背景情報の提示が求められることもあるため、準備しておく価値はあります。すべてを一度に切り替える必要はなく、扱いやすい魚種から始めることで実務負担を抑えられます。結果として、対応できる要件が増え、取引機会の拡大につながります。

中長期的な資源安定

持続可能な管理が進むことで、資源の維持や回復が見込みやすくなり、供給の安定に結びつきます。資源が不安定になると、仕入れ価格の変動や欠品リスクが高まり、メニューや販売計画にも影響が出やすくなります。資源管理の視点を含む水産物を選ぶことは、将来のリスクを減らす考え方にもなります。もちろん市場環境の変化は避けられませんが、長期的に見れば「安定して扱える商品」を増やすことにつながります。継続的な調達がしやすい点は、事業運営にとって大きなメリットです。


サステナブルシーフードのデメリット

導入には前向きな面がある一方、価格や運用面での負担も起こり得ます。メリットだけで判断せず、課題を理解したうえで自社に合った進め方を選ぶことが継続のポイントになります。

仕入れ価格の上昇

認証取得や管理体制の運用にはコストがかかるため、一般的な水産物より価格が高くなる場合があります。仕入れ量が少ない段階では、価格差が目立つこともあります。ただ、背景情報を添えて提供できるため、付加価値として受け止められる余地もあります。価格だけで結論を出すのではなく、説明のしやすさや信頼形成まで含めて検討すると判断がぶれにくくなります。導入初期は、売れ筋魚種や提供頻度の高いメニューから試すと負担が抑えられます。

供給量の制約

認証に対応している漁業・養殖場は限られるため、魚種や時期によっては希望量を確保しにくい場合があります。対策としては、代替魚種を用意しておく、提供方法を柔軟にするなど、運用面での工夫が現実的です。供給の制約は「導入できない理由」になりやすい一方で、設計次第で乗り越えられるケースもあります。継続的に扱う商品と、季節・数量限定で扱う商品を分けると、計画が立てやすくなります。無理のない運用設計が、継続につながります。

トレーサビリティ管理の負担

持続可能な水産物を扱うには、産地や認証の情報を確認し、必要に応じて記録として残す運用が求められます。管理が曖昧だと説明がぶれやすくなり、せっかくの取り組みが伝わりにくくなります。例えば、納品書・商品説明・メニュー表示をひも付けて整理しておくと、確認作業が軽くなります。情報提供が整っている仕入れ先と組むことで、現場の手間を抑えやすくなります。最初から完璧を目指さず、必要な範囲から整えるのが現実的です。


サステナブルシーフードの仕入れ方法

導入をスムーズに進めるには、確認ポイントを先に決めておくのが近道です。判断基準がはっきりすると、担当者が変わっても運用がぶれにくくなり、説明もしやすくなります。

  • 認証ラベルや証明書類の確認
  • 産地・漁法(養殖方法)の情報把握
  • 流通経路と表示内容の整合性チェック

導入をスムーズに進めるには、確認ポイントを先に決めておくのが近道です。判断基準がはっきりすると、担当者が変わっても運用がぶれにくくなり、説明もしやすくなります。

認証水産物の選定基準

まず確認しやすいのは、MSC・ASCなどの認証ラベルの有無です。ラベルが付いている場合、一定の基準を満たしていることが示されます。次に、取引時に証明書類や商品説明が提示できるかを確認すると、説明の根拠が強くなります。すべてを厳格に運用するよりも、「最低限ここは確認する」という線引きを決めると現場が回りやすくなります。扱う魚種を増やすタイミングで基準を見直すと、負担を抑えながら継続できます。小さく始めて、運用に合わせて精度を上げる考え方が向いています。

魚の仲卸との連携体制

仲卸は、産地と提供先をつなぐだけでなく、商品情報を整理して届ける役割も担います。連携のポイントは「何を確認したいか」を共有し、必要な情報が仕入れ時点で受け取れる状態を作ることです。例えば、産地・認証・取り扱い上の注意点が揃っていると、店舗側の確認作業が減り、説明もしやすくなります。さらに、供給が不安定になりそうな魚種がある場合、代替提案をもらえる関係を築くと運用が安定します。情報共有の質が上がることで、サステナブルな調達が現場で続きやすくなります。

産地情報と流通経路の確認方法

産地、漁法(または養殖方法)、認証の有無など、必要な情報が揃っているかを確認します。確認手段としては、商品説明、証明書類、納品書への記載、仕入れ先からの説明などが考えられます。重要なのは、表示や説明が一貫していることです。例えば、メニュー表示に認証の記載をする場合、仕入れの根拠情報と矛盾がない状態が望まれます。運用としては、確認項目をチェックリスト化すると、担当者が変わっても品質がぶれにくくなります。無理なく続けられる仕組みに落とし込むことが大切です。


亀和商店のサステナブルシーフードの特徴

亀和商店は、豊洲市場の仲卸として水産物を扱ってきた中で、MSC認証およびASC認証を取得し、認証水産物の取り扱いを行っています。天然漁業と養殖水産物の双方に関わる認証制度に対応している点は、サステナブルシーフードを検討する事業者にとって判断材料の一つになります。

MSC認証とASC認証の取得実績

亀和商店は2006年4月に日本で初めてMSC認証を取得し、2015年4月にはASC認証も取得しています。
MSCは天然漁業、ASCは養殖水産物を対象とした認証制度です。両制度に対応していることで、天然魚と養殖魚のいずれについても認証水産物の取り扱いが可能となっています。認証は取得後も継続的な管理が求められるため、日常の運用体制が前提となります。こうした体制のもとで流通していることは、仕入れ時の確認項目として活用できます。

豊洲市場仲卸としての供給体制

1938年に東京・築地で創業し、80年以上にわたり水産仲卸として飲食店・ホテル・高級スーパーへ水産物を供給してきた実績があります。現在は豊洲市場を拠点に、ASC認証エビ・ASC認証マダイ(愛媛県産)・MSC認証キハダマグロ(天然)など、認証水産物を中心とした取り扱いを行っています。認証水産物についても、ラベルや証明情報を確認しながら流通させることで、取引先が説明しやすい状態を整えています。

ASC認証エビに関する情報提供

取り扱うASC認証エビは、加工段階を含め抗生物質・添加物不使用で供給しています。無保水のため加熱損失が少なく、加熱後も歯ごたえが残りやすい点が特徴です。
小さく切って調理する場面でも食べ応えを保ちやすく、メニューへの応用がしやすい商品です。品質に関するデータも提供しているため、仕入れ前の確認や社内検討の材料としてご活用いただけます。


FAQ

サステナブルシーフードのよくある質問

導入を検討する際に多い疑問は、価格、認証の扱い、規模に合う進め方です。結論だけでなく、判断のポイントが分かる形で回答します。

Q最も重要なパートナー

高くなる場合があります。認証の運用や管理体制にはコストがかかるため、その分が価格に反映されることがあります。ただ、背景情報を添えて提供できるため、価値として伝えやすい面もあります。価格差が気になる場合は、まず提供頻度が高い魚種や、ストーリーを説明しやすい商品から試すと進めやすくなります。メニュー表示やPOPで短く背景を伝えるだけでも印象は変わります。無理なく続けられる設計にすることが、結果としてコスト負担の体感を下げるポイントになります。

Q認証がない魚は扱えないのですか

認証がない魚でも扱えます。認証は第三者の基準に基づく判断材料であり、必須条件ではありません。産地情報が明確で、資源管理や生産背景を説明できる場合もあります。ただし、説明の根拠を揃えたい場合は、認証があるほうが判断がしやすくなる傾向があります。運用としては、認証水産物と、産地情報が明確な水産物を併用する形も現実的です。自社の説明方針に合う選び方を決めておくと、現場が迷いにくくなります。

Q小規模事業者でも導入できますか

小規模でも導入できます。最初から全商品を切り替えるのではなく、1つの魚種、1つのメニューから始めるほうが続きやすくなります。仕入れ先と相談しながら、入荷が安定しやすい商品を選ぶと運用が回りやすくなります。提供時は、短い説明文を用意しておくとスタッフ間で伝え方が揃います。小さく始めて改善する流れにすると、負担を増やさずに取り組めます。継続できるサイズで設計することが、いちばんのポイントになります。

まとめ|サステナブルシーフード導入の要点

サステナブルシーフードは、水産資源と海の環境を守りながら、将来にわたって利用できる形で生産・流通している水産物の考え方です。MSC認証は主に天然漁業、ASC認証は主に養殖水産物の判断材料となり、仕入れ時の説明の根拠を作りやすくなります。メリットは信頼形成や取引対応のしやすさ、長期的な安定につながる点で、デメリットとしては価格や供給、情報管理の負担が挙げられます。導入は、確認ポイントを決めて小さく始めるのが現実的です。仲卸との情報共有を整えることで、無理なく継続しやすくなります。